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今月の本

The People in the Trees

日本人の父親をもつHanya Yanagiharaの英文も素晴らしい。デビュー作はThe People in the Trees (2013)で、その後のA Little Life (2015), To Paradise (2022)も非常に読み応えのある作品ばかりだ。最初に読んだThe People in the Treesは衝撃だった。実際に存在した科学者の話を元に書いているようだが、不思議な物語の展開に引き込まれてしまった。A Little Lifeは1人の男性の生涯を書いているが、700ページを越える非常に長い作品だ。この作品は賛否が分かれているそうだ。To Paradiseは3部作で、それぞれが1893年、1993年、2093年の設定になっていて、どのパートも最後がto paradiseという語句で終っている。1893年のパートを読み始めて、his husbandという語句が出てきた時は、何のことが理解できなかったが、何度も読み返してやっと当時の米国における同性婚のことを描いていることがわかった。1993年はエイズの時代を描いている。最後の2093年は未来を予測した作品だ。Yanagiharaの作品の主人公はいつも男性であるが、2093年のパートだけ女性が主人公になっている。George Orwellの1984やAldous HuxleyのBrave New Worldと同様にディストピアの世界を描いているが、違うのは最後にto paradiseという語句で終っており、かすかな希望を読者に与えている点である。Yanagiharaの作品は今後も注目していきたい。

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