今月の本
Someday Angeline
8-12歳の子どもたち対象と表示されているが、優れた児童書の例にもれず、大人にも、十分、読み応えのある本である。
以前に勤務していた学校で、ホームリーダーとして高1に読ませたが、保護者会で「青い表紙の魚の絵のある本はいったいなんですか」と保護者から質問があった。お叱りがと思っていると、夕飯だと呼んでも、全く聞こえないようで、夢中になって読んでいる本はいったい何なんだ、ということだった。思春期真っ盛りの高1男子をそんなに夢中にさせる本である。
Giftedが今のように話題になる遥か前、1983年に書かれた本である。周りの子どもたちはアンジェリンを「天才」、「ジーニアス」、「化け物」、「フリーク」と呼ぶ。頭が良いがために、8歳のアンジェリンをどこの学年に入れてよいか見当がつかず、とりあえず、6年生のクラスに入れられたのだ。当然、6年生よりも賢いアンジェリンは居心地も悪く、居場所もない。担任のMrs. Hardlickは我々の反面教師である。
アンジェリンの父はゴミ収集車の運転手。生まれて間もなく「オクトパス」と口にした天才のアンジェリンの扱いに戸惑う日々である。父の同僚のガスは、アンジェリンを特別扱いすることもなく、自然体で、彼女に接することができる大人である。
学校で出会ったGary Boonは、いつもjokeを口にするが、クラスメートは誰も笑わず、彼をgoonと呼びバカにしている。昼休みに、ゲリーと出会い、アンジェリンが”Would you feel like a cookie?”と勧めると、”I don’t know. How does a cookie feel?”とゲリーが答えてから、二人は友達になる。ゲリーの担任はMiss Turboneだが、彼は Mr. Boneと呼ぶ。そしてこんななぞなぞも出す。”What did the acorn say when it grew up? – “Geometry. Gee, I’m a tree.”言葉遊びが随所にちりばめられていて楽しい。
自分と違う人をそのまま受け入れることは難しいと思わず、そのまま、ありのまま受け入れればいいのだよと教えてくれる。また。ハードリック先生は私たちがもしかしたら、なってしまうかもしれない、いやなっているかもしれない先生である、と警鐘を鳴らしてくれる。大人にとっての必読書といえるかもしれない。William Arthur Wardの”The mediocre teacher tells. The good teacher explains. The superior teacher demonstrates. The great teacher inspires.”の言うinspireできるthe great teacherに少しでも近づきたいものである。