今月の本

A Promised Land

オバマ元米国大統領の回顧録である。オバマ元大統領の知性が溢れる英文であるが、文章が明確なので、比較的読みやすい。まだ読んでいない教師は是非とも読んでほしい本だ。オバマの子供時代、大統領選に至るまでの経緯、そして大統領に就任してからの苦労は興味深い。プーチン大統領とは彼のダーチャ(dacha ロシア語で別荘)で会議しており、その時のプーチン大統領の性格を次のように書いている。

Putin did, in fact, remind me of the sorts of men who had once run the Chicago machine or Tammany Hall---tough, street smart, unsentimental characters who knew what they knew, who never moved outside their narrow experience, and who viewed patronage, bribery, shakedowns, fraud, and occasional violence as legitimate tools of the trade. (page 466)
この会議でプーチンは米国に対して不満を爆発させており、現在のロシアのウクライナ侵略の構想はすでにオバマ大統領の時代に存在していたのかと推測できる。

また、Michelle Obamaの本で自身の半生を描いたBecoming (2018)も併せて推薦したい。彼女の英文も非常に明快である。アフリカ系アメリカ人であるMichelleが弁護士を目指して人の何倍も努力する。そして、その願いは叶う。しかし、弁護士として働き始めてから、自分には合っていない職業だと悟り、弁護士をやめてしまう。その潔さに感動した。また、オバマ元大統領との出会いを細かく書いているが、オバマ大統領が書いたものとは微妙に異なっている点も興味深い。強く生きる勇気をいただける本である。